Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かぜ

風

壺井 栄

Lesen Sie 風 (かぜ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.702 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

二

彼女ははじめての東京を、深川から修造のいる本郷真砂町まで、人に聞き聞きたずねていった。せまい三畳に、彼は友だちと一しょにいた。会ってみれば何のことはない。昨日、電報は修造の出かけた留守に着いていたのだという。

「すみませんでした。だから今日は朝から待ってましたよ。」

茂緒はただにこにこしていた。にこにこしながら彼女なりの思いで、修造の生活が、今貧窮の底にあることを見てとった。彼はまた以前のような長髪になり、顔は前よりやせていた。髪が長いのは、床屋にもゆけないからだろうと思い、頬のくぼみはろくに食べていないせいだと察した。

下宿を出ると、彼は最初にいった。

「ぼくは、今、金がないんですがね。」

茂緒はその率直さに感動しながら、

「少しなら、わたし持ってますわ。」

二

翌日から、ふたりは毎日貸家さがしをして歩いていた。東京見物は思いがけない方向へ発展して、ふたりは郊外を歩きまわった。それが東京のどこなのか、茂緒にはいっこう見当がつかなかったが、何のためらいもなく、ついて歩けた。それが予定のことででもあったような自然さで、わくわくしながら、やたらと歩きまわり、小さな家を、小さな家をとさがした。