Japanische Klassiker mit Furigana
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かぜ
風
壺井 栄
Lesen Sie 風 (かぜ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.702 Zeichen · 78 Bildschirme
扶佐子もまた、そんな夫に対抗でもしているように、不自然なときに、歌など歌ったりした。
きょろきょろした
おきつねさん
なにしにきーた
こんこんないてきた
ばっかりさ
そして、男たちがたばこをのむのと一しょに、自分もふかした。Nたちは渋谷の近くに部屋がりをしているのだった。
「ね、Iさんたちもくるわよ。ゆうべ多枝さんと約束したのよ。あした、井村さんのお嫁さん見にいきましょうって。」
台所で茶の支度をしていた茂緒はびくっとした。こんなところへこられてはたまらぬと思ったからだ。せめて何とか恰好がついてからにしてほしいと思うのだが、しかし扶佐子たちは何とも思っちゃいないらしかった。湯のみがたりなくて、まごまごしている茂緒のそばへきて、
「ごはんのお茶碗でいいわよ。」
そう言って、まるで自分がこの家の主婦ででもあるように、さっさと茶をいれた。それがすむと食事に移った。こんどは汁碗が茶碗になり、二つしかない湯のみに味噌汁をついで、夫婦はかわるがわるすすった。扶佐子がひとり、げらげら笑いつづけた。午後になるとI夫婦も連れだってやってきた。Iがすわりもしないで家中をぐるぐる見て歩きながら、「いいね、いいね、ぼくたちも一軒借りるかな。