Japanische Klassiker mit Furigana
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かぜ
風
壺井 栄
Lesen Sie 風 (かぜ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.702 Zeichen · 78 Bildschirme
文学などを志したばかりに彼は、腰が坐らず、いつも暮しに追いつめられていたというのだ。その最初が、大学の経済から文科へと、家へ無断で転科したときだった。そのために学資がとまり、苦学がはじまったことは茂緒も知っている。そのあとのことは、茂緒にはよくのみこめないままに、ただ彼が時代に反逆しようとし、なにかを叩きこわそうとしている意志だけが、そのものとして感じられた。茂緒もまたそのことにひかれもし、そこへ希望もつないでいたといえばいえることだったのに、一しょに暮してみれば、ただ貧乏だけが目の前に立ちふさがってきて、まだ正体はつかめそうもなかった。しかし、働くことで目の前の貧乏をくぐりぬける自信だけはもっている。荷物がきて、着がえができれば、その日からでも仕事を見つけにゆこうと、手ぐすねひいてまっている茂緒だった。彼女の荷物はまだこず、一足さきにやってきた修造の空行李について、
「食いつめて、なんにもなくなると家へ帰るんだ。友だちの着物をかりてね。すると、おふくろが心配してね、親父や兄きにないしょで、姉とこそこそ相談しては、夏冬一通りのものをこしらえてくれるのさ。