Japanische Klassiker mit Furigana
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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
Lesen Sie 飢餓地帯を歩く (きがちたいをあるく) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.478 Zeichen · 31 Bildschirme
しかし、右の詩句に現われているような、単純にして素朴な苦闘ぶりには、それが、大凶作、大飢饉地帯の中であるだけに、私は、今までの暗黒街の女群や、ルンペン群の生活苦闘に対して感じたのとはまた異った、一種特別の暗然たる気持ち――泣きながら眠って行く孤児を見るような淋しい暗さを感ぜずにはいられなかったのである。
で、私は考えずにはいられなかった。果してこれが、飢饉地帯の百姓達の最後までの生き方であろうか。多くの百姓達は、食物が尽き果てて、ついに餓死する時まで、同じように黙々として、何ものも恨まず、何ものにも訴えずに終るのであろうか?
岩手県下に三万余人、青森県下に十五万人、秋田県下に一万五千人、そうして北海道全道には二十五万人、総計四十五万人近くの百姓達は、この冬の氷と雪に鎖されながら、字義通り餓死線上に立たされているという。
私は、これらの人達の中の幾人かと会って話し合い、以上の疑問をただして見たかった。即ち、それらの百姓達の胸の奥には、この大凶作、大飢饉に対して、どんなことが考えられているか、どんな生き方が考えられているか、またそれが今、どんな具体的な姿となって現われつつあるか、そのほんとうのところを知りたかった。