Japanische Klassiker mit Furigana
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えきふにっき
駅夫日記
白柳 秀湖
Lesen Sie 駅夫日記 (えきふにっき) von 白柳 秀湖 (しらやなぎしゅうこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.989 Zeichen · 69 Bildschirme
いつのころか悪僧どもが共謀して、卑しい手段で恐ろしい厳しい取立てをした、その時村に権之助という侠客がいて、百姓の難渋を見ていることが出来ないというので、死を決して増上寺から不正の升を掠めて町奉行に告訴した、権之助のために増上寺の不法は廃められたけれども、かれはそれがために罪に問われて、とある夕ぐれのことであった、情知らぬ獄吏に導かれて村中引き廻しにされた上、この岡の上で惨ましい処刑におうたということ。
ああ、権之助の最後はこんな夕ぐれであったろうか。
私は空想の翼を馳せて、色の浅黒い眼の大きい、骨格の逞しい一個の壮漢の男らしい覚悟を想い浮べて見た。いかに時代が違うとは言いながら昔の人はなぜそんなに潔く自分の身を忘れて、世間のために尽すというようなことが出来たのであろう。
羞かしいではないか、私のような欝性がまたと世にあるであろうか、欝性というのも皆自分の身のことばかりクヨクヨと思うからだ、私がかつて自分のことを離れて物を思うたことがあるであろうか、昼の夢、夜の夢、げに私は自分のことばかりを思う。
いつの間にか私は目黒川の橋の上に佇んで欄干にもたれていた。