Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えきふにっき

駅夫日記

白柳 秀湖

Lesen Sie 駅夫日記 (えきふにっき) von 白柳 秀湖 (しらやなぎしゅうこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.989 Zeichen · 69 Bildschirme

Aozora Bunko

この川は夕日が岡と、目黒原の谷を流れて、大崎大井に落ちて、品川に注ぐので川幅は狭いけれども、流れは案外に早く、玉のような清水をたたえている。水蒸気を含んだ秋のしめやかな空気を透してはるかに水車の響が手にとるように聞えて来る、その水車の響がまた無声にまさる寂しさを誘うのであった。

人の橋を渡る気配がしたので、私はフト背後をふりかえると、高谷千代子とその乳母というのが今橋を渡って権之助の方へ行くところであった。私がそのうしろ姿を見送ると二人も何か話の調子で一しょに背後を見かえった。私と千代子の視線が会うと思いなしか千代子はニッコリ笑うたようであった。

私は俯伏して水を眺めた。そこには見る影もない私の顔が澄んだ秋の水鏡に映っている。欄干のところに落ちていた小石をそのまま足で水に落すと、波紋はすぐに私の象を消してしもうた。

波紋のみだれたように、私の思いは掻き乱された。

あの女はいま乳母と私について何事を語って行ったろう、あの女は何を笑ったのであろう、私の見すぼらしい姿を嘲笑ったのではあるまいか、私の穢くるしい顔をおかしがって行ったのではあるまいか。

波紋は静まって水はまたもとの鏡にかえった、私は俯伏して、自分ながら嫌気のするような容貌をもう一度映しなおして見た、岸に咲きみだれた藤袴の花が、私の影にそうて優しい