Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げかしつ

高野聖

泉 鏡花

Lesen Sie 高野聖 (げかしつ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.264 Zeichen · 104 Bildschirme

Aozora Bunko

白糸はまずこれを収めて、

「内君、いろいろなことを言ってきのどくだけれど、私の出たあとで声を立てるといけないから、少しの間だ、猿轡を箝めてておくれ」

渠は内儀を縛めんとて、その細帯を解かんとせり。ほとんど人心地あらざるまでに恐怖したりし主婦は、このときようよう渠の害心あらざるを知るより、いくぶんか心落ちいつつ、はじめて賊の姿をば認め得たりしなり。こはそもいかに! 賊は暴くれたる大の男にはあらで、軆度優しき女子ならんとは、渠は今その正体を見て、与しやすしと思えば、

「偸児!」と呼び懸けて白糸に飛び蒐りつ。

自糸は不意を撃たれて驚きしが、すかさず庖丁の柄を返して、力任せに渠の頭を撃てり。渠は屈せず、賊の懐に手を捻じ込みて、かの百円を奪い返さんとせり。白糸はその手に咬み着き、片手には庖丁振り抗げて、再び柄をもて渠の脾腹を吃わしぬ。

「偸児! 人殺し!」と地蹈鞴を踏みて、内儀はなお暴らかに、なおけたたましく、

「人殺し! 人殺しだ!」と血声を絞りぬ。

これまでなりと観念したる白糸は、持ちたる出刃を取り直し、躍り狂う内儀の吭を目懸けてただ一突きと突きたりしに、覘いを外して肩頭を刎ね斫りたり。