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Japanische Klassiker mit Furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme

Aozora Bunko

どうもこの頃の奉公人というものは呆れたもので、……」

壁辰と聞くと、幸吉はうれしさを隠して、急に進み出て来た。

「わたしは、ちょっと今、手がすいておりますから、それでは、わたしが壁辰の親方を一ッ走りに迎いに参りましょうか」

「そうだな。黒門町だから、そう遠いところじゃなし、それじゃあ、幸吉、御苦労だが、そうして貰おうか。なに、おやじが話したいことがあるから、おひまだったら顔を貸して呉れといってな、いっしょに来て貰えばいいのだ。用は大したことではないが、年とると物忘れがひどいから、忘れないうちにと思ってな、それで急いでおりますよ」

父の幸兵衛の言葉を背中に聞いて、幸吉は、もう自宅の筆屋を走り出ていた。

壁辰の娘お妙――あの、露を持った野百合の花のような、たおやかなお妙のすがたに、人知れず思いを寄せている幸吉である。今までにだって、機を見ては何度となく意中を伝えてあるのだが、お妙はそのたびに外方を向いて、いつもつれない様子を見せて来た。しかし、拒ねられれば拒ねられるほど募ってくるのがこの病だというし、それに幸吉は、若旦那らしく生ッ白い自分の男ッ振りに多分の自信を持っているのだから、おれの男ッ振りにうちの財産がある以上、お妙は今に靡いてくるものと思いこんで、先方は幾ら黒門町だの壁辰だのと言ってみたところで、どうせ