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Japanische Klassiker mit Furigana

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まおうものがたり

魔王物語

田中 貢太郎

Lesen Sie 魔王物語 (まおうものがたり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.506 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

雨の※(「くさかんむり/粛」、第4水準2-86-77)々と降る夜であった。陰山庄左衛門の弟の正太夫と云うのが見舞に来た。正太夫は平太郎の竹馬の友であった。正太夫は挨拶がすむと、己が差して来た刀を手に執りあげて平太郎に見せて云った。

「これは、兄が殿様から拝領した備前長船の名刀じゃ、妖魔も此の霊徳には叶わないと思われる、今晩は是非夜伽をして、もし現れたら、一刀に斬って退治いたそう」

庄左衛門が主君から長船の刀を拝領したのは、平太郎も知っていて竊に羨ましく思っているところであった。彼は喜んでそれを借りて見たりした。

夜半比になると二人とも話に飽いて来たので黙って坐っていた。と、台所の方から女の首がころころと転がって来た。正太夫はそれを見るといきなり長船の刀を脱いて斬りつけた。首は二つに分れた後でふっと消えた。其の機に刀の目釘が折れて、刃はむこうへ飛んで柱に当って二つに折れた。二人は驚いて顔の色を蒼くした。

「大変なことになってしまった」と、云って恨めしそうに折れた刀の方に眼をやった正太夫は、「此の上は是非がない、死んで兄上にお詫をしよう」

彼はこう云って脇差に手をかけた。