Japanische Klassiker mit Furigana
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まおうものがたり
魔王物語
田中 貢太郎
Lesen Sie 魔王物語 (まおうものがたり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.506 Zeichen · 23 Bildschirme
二
平太郎の冒険も何の変ったこともなかった。二人は気ぬけがして帰って来た。
二
五月雨の比は過ぎて世は七月の暑い世界となった。某日の夕方平太郎と権八の二人は、二筋川の方へ納凉に往っていた。夕陽の落ちたばかりの川原へ出て、大きな白い石に腰をかけて話していると、今の前まで大熊山の方に当ってもくもくと盛りあがったり崩れたりしていた鼠色の雲が、急に空一面に瀰漫すると見る間もなく夕立模様となった。雷光がきらきらと眼を射て雷が鳴りだした。雷に続いて銀線のような雨が降って来た。二人は驚いて他の納凉客といっしょに、雨と雷鳴の中を走って帰った。
そして、二人は門前で別れてそれぞれ家へ入ったが、皆川の中を泳いで帰ったように頭からずぶ濡になっていた。平太郎は僕の六助に寝衣を出してもらってそれを着たが、半路以上もある処を走って疲労れたので、其のまま蚊帳の中へ入って横になった。僕は主人の濡れた帷子を竿にかけてから己の室へさがって往った。
睡りかけていた平太郎の耳に僕の呻き苦しむ声が聞えて来た。彼は起きあがって僕の室へ往ってみると、僕は仰向けになったままで手足をばたばたと動かしてくるしんでいた。