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Japanische Klassiker mit Furigana

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まと

魔都

久生 十蘭

Lesen Sie 魔都 (まと) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 293.999 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

なら清川組。どうあっても野毛山なんぞがケチをつけにくる筋はないのだが」

酒月は湯呑を引寄せて冷えた茶をグッと呻りつけると、ジロリと幸田の面を見上げ、

「おい、これァ大きいぞ。野毛山が動き出すようじゃ、これァ大分大きい。……なア、幸田、鳴くべきいわれのない鶴がなんで鳴く。それをなんで野毛山が壊しに来る? この筋道の裏を辿っていったらこれァことによったら大事件だぜ。……どうだ、乗りかかった船だ、一番出潮に乗って行くところまで行って見るか」

幸田はマジマジと酒月の面を瞶めていたがやがて一言、

「よかろう」

といった。この時、格子戸を手荒く押開け、

「とめ婆さん居るかい」

という声とともに玄関へ飛込んで来たのは、すぐ上の有明荘へ出入する鳥屋の小僧。格子に掴まって素頓狂な声。

「とめさん、大変だ大変だ、王様の妾が身投げをした」

幸田はウムと眼を輝かして立上る。とめは奥から走り出し、

「なんだって。奥さんが身投げをしたと。それで生きてるのか死んでるのか」

「死んだともさ。窓から崖下まで落ちたんだぜ。助かりっこはあるもんか」

とめは大袈裟に眉を顰め、

「おお、厭だこと。湯灌なんぞしなくちゃならねえのかしら。