Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まと

魔都

久生 十蘭

Lesen Sie 魔都 (まと) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 293.999 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

……床へ入ってから二十分ぐらい経ったろうか。隣りの質屋の相庇の上を誰かソロソロと歩いて行くような音がする。猫じゃない、たしかに人の足音だ。……妙な気がして、そっと便所へ入ってそこの瓢箪窓からソッと相庇の方を覗き上げて見ると、薄月で白く光る屋根の上を、山木が凄い顔をして這いずりながら堺橋の側の方へ降りて行く。何をしやがるんだろうと思っているうちに、それから五分ほど経つと、ハッチソンが乗って来たロード・スターが動き出す音がし、反対の、備前橋の方へ走り出して行った」

印東は冷たく笑って、

「山木は親父からも親類からも見放されてしまい、ここに三十万という金がなければ、文書偽造で喰らい込むか首を縊るかという正念場だ。こうせっぱ詰ったらなんでもする気になるだろう。無理もない、あたしはあいつの気持がよく判る。……だが、それほど思い詰めたんなら、何故ひとことあたしに明かさねえんだ。……ドーランなんか塗ってすッ恍けちゃいるが、実のところ、これでもちッとばかし骨があるんだ。頼むといえば王様殺しの片棒ぐらい担いでやらないもんでもない。……そこが憎い。水臭いんで腹が立ったんだ。