Japanische Klassiker mit Furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Lesen Sie 魔都 (まと) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 293.999 Zeichen · 578 Bildschirme
「お宿泊になっております」
「すぐここへ来るようにいってくれたまえ」
ボーイ長が引き退ると間もなく、縮れっ毛団栗眼の、「長崎絵」の加比丹のような面をした突兀たる人物が一種蹣跚たる足どりで入って来て、皇帝の前へ直立すると、危なっかしいようすで敬礼をし、
「おお、お目覚めになられましたか。……こうもあろうなら、手前ら殿下を御介抱いたそうとて、しんじつ手古擦ったと申すべきでありましょう。何にいたせ、あらん限りにおむずがりになり、またさまざま鼻唄などをご朗誦になるなど、いかにも手に余ったのではございました」
皇帝は日ごろにもなく厳しく眉根を寄せてその男の顔を眺めていたが、人もなげな恍けたいい廻しをきいていると、ムラムラと腹が立って来て、
「貴様は何だ!」
と叱※(「口+它」、第3水準1-14-88)した。
秀陳は眼をパチクリさせていたが、凄い眼つきで自分を睨みつけている皇帝の顔を見ると、急に泣き出しそうな顔になって、
「ああ、情けなや、殿下におかれては、いまだ酒気中にわたらせられると考えるより外はないのでありましょう。帰国の暁には勲章をやるぞと、優渥なるお約束をつかわされ、また、ひょッとしたら大臣の位まで賜わるべき筈の手前らを、あろうことか、早や御忘却になるなどは、日ごろ御聡明なる殿下として、有り得べからざることなので