Japanische Klassiker mit Furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Lesen Sie 魔都 (まと) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 293.999 Zeichen · 578 Bildschirme
岩井通保です。岩井があなたと同じ服装をして、あなたの代りに巡視していたのです」
総監は飽気にとられたように、
「ほほう、どういう目的で?」
「あなたのアリバイを作る目的で!」
総監は口を噤んで何か考え込んでいたが、不思議でたまらぬといったふうに真名古の顔を見上げながら、
「真名古君、たしかに君はどうかしている。ねえ、君、そういう考え方はすこし奇抜だとは思わんかね。……岩井がそれほど巧妙に僕の代役をやってのけられるんなら、金剛石の方も何も僕などを煩わさずに自分自身でやれそうなもんじゃないか。君は向島を巡視したのが岩井で、有明荘へ現われたのが僕だと断定しているが、なぜそれを反対だと考えてはいけないのか」
「その逆理が成立しないわけは、あなたの犯行を目撃した確実な証人がいるからです」
「可能的類似といったものだったのだね」
「どうして、唯一の真実在でした」
総監はまた癇癪を起しそうな顔になって、
「君のいう証人というのは、有明荘の崖下に住んでいる花という娘のことだろうが、君の話では、その娘は犯人について、毬栗頭で、腕にキラキラ光るものを巻きつけていたとだけしかいっていない」