Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎょもん
魚紋
吉川 英治
Lesen Sie 魚紋 (ぎょもん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.582 Zeichen · 30 Bildschirme
白い碁石
一
と、着物の土を払いながら、かまきりの背後へ廻ると、不意に、相手の脇腹へ抱きついた。
『わッ! ……。ち、ち、畜生っ』
かまきりの伝九郎は、全身でもがいた。薊の匕首は彼の脾腹にふかく入った儘離れなかった。狂う程かまきりは自ら血をしぼって。その血は、月に青光りして、あたりの鋸屑に斑々とこぼれた。
白い碁石
一
自分が見廻らない時は、他人を番に立たせておいて、山岡屋は、永代河岸を警戒させていた。
それでも尚、彼は不安であったとみえ、そこから近い菖蒲河岸の団子屋の二階を借りて、たいがいは其処へ来ていた。
あれから、何度も船を出して、鈎縄を下ろしてみたり、継竿に引っ掛を付けて、探ってみたりしたが、場所は、生憎と思いのほか水深があって、そんな楽な手段では揚りそうもなかった。
医者の玄庵が、頻りと、この辺を徘徊した。永代橋の上から考えこんで見ている姿も何度も見た。まだ陸にも川にも往来の少い夜明け方小舟で、何かやっている所も、一度や二度ならず、山岡屋は見つけた。
五月雨になると、川は殆ど毎日濁って、水もずっと殖えていた。当分は手も出せない濁流だった。
山岡屋は、ぶらりと、玄庵の門へ訪ねて来た。