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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「そして弦之丞様は、キット来るとおっしゃったかい?」

裸文を手渡して、そこへ帰ってきた女中のお藤に、こう念をおすと、お藤は自分の恋のように顔を赧らめる。

「いいえ、そこまでは伺ってまいりません。だって、奥で源内様が、聞いておいでになるのですもの」

「気がきかないねえ、お医者様にはかかわりのないことじゃないか」

「けれど、やきもきなさいますな、きっとおいでになりますよ。お嬢様のようなご縹緻よしに思われて、心を動かさないお人なら、よッぽどどうかしております」

「あら、よいほどにお世辞をお言い……」

袂でフワリと打った時、楊柳の黄色い枯葉がピラピラと舞って光る。

川口へ下ってゆく、高瀬舟や番所船、十反帆の影などが、ゆるゆると流れてゆく合間に、向う岸の四貫島の森から白い鳥群が粉のように飛び立つのが見えた。

「もしやあなたは、川長の御寮人様ではございませんか」

渡舟待ちの前から、こう話しかけてきた中年増がある。身装は地味、世帯やつれの影もあるが、腰をかがめた時下げた髪に、珊瑚の五分珠が目につくほどないい土佐だった。

「おや、お前は元、私の家の仲居をしていた、お吉じゃなかったかえ?」