Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
血祭り
血祭り
パチッ……と一石。いい音だ。
榧の碁盤へ那智黒の石。
ここでしばらく間があろう、というふうに、竹屋三位卿有村、扇子をとって肘をのせ、
「まず、ごゆるり……」と、余裕の綽々さをみせたものである。
局に対している人は阿波守重喜。
「なんの」
といったが、指に挟んでいる朝鮮貝の白一石、盤面の宙をさまようことやや久しく……。
パチリ! やがての音である。
「いよいよ本丸火の手と見えました」
「猪口才」
白、電瞬に打ってゆく。
「こうまいる」
「はて、きたなき敵でありつるわよ」
「孫子九変の伏手と申し、すなわち兵法の一手でござる」
「あな笑止、苦しい言い訳」
パチリ、パチリ、たちまち戦雲漠々としてきた。
碁盤碁石は立派だが、阿波守も有村卿も、やはり衆にもれぬザル組でおわすらしい。
しかし、負けぬ気の殿と、慷慨家で壮年の公卿様との対局は、技を別にして興のある碁敵だ。
ここは下屋敷の一部、名づけて隣帆亭という茶席。
初更ながら深沈とした奥庭、秋草や叢竹が、程よく配られた数寄屋の一亭に、古風な短檠に灯をともしてパチリ、パチリ、と闘石の音……そして、あたりは雨かとばかり啼きすだく虫。