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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「げッ!」と、仰天したのは、周馬ばかりか、お十夜も同様、カラリと手の盃を取り落して、言いあわしたようにヌッと立った。

「使屋、今の話に間違いはあるまいな」

「ええ、嘘なんざア申しませんが、このお手紙はどうしましょう」

「ウーム、弱った……」と、明日の手筈も急なら、今夜も急! 周馬も孫兵衛も当惑したが、それは、使屋に頼んでおいて出なおすことにきめ、二人はバラバラと喜撰風呂の二階から駈け下りてきた。

怪し火とは気がかり、周馬の胸は、穴蔵部屋の財宝と、そこに押しこめてあるお千絵の安否に騒ぎ立ち、お十夜はまた、とり残してきたお綱の身が、もしやと心配になってきた。

空を仰ぐと一面の火の粉!

二人は、肩をならべて駈けだした。

「ちぇッ。しまった!」

護持院ヶ原まで飛んでくると、周馬はそこで、茫然と足を止めてしまった。

「ウーム、だめだ! やっぱり火元は墨屋敷だった。今さら駈けつけてみたところで、間に合わねえ」

それを聞くと、お十夜も、ガッカリとして太い息を吐きながら、

「駄目だろうか」

「あれだもの! ……」

周馬はいまいましそうに、そこからあきらかに仰がれる高台の焔を指さして、