Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
そこでにわかに阿波入りを思いたち、あのお方の手紙をもって、世阿弥様の御安否をさぐり、もし生きていたらばしめたもんだ! 甲賀のお家に春が来る! というので実あ飛びだしてきた訳です」
「なるほど、いつもながらの侠気じゃ。恋はすれど意気地もなく、天蓋の下に身をかくしている、この弦之丞などは面目ない」
「ど、どういたしまして。ところが、こいつア一世の大難事。細工はりゅうりゅうという訳にはゆきそうもねえ、まずわっしの命は鳴門の関をこえねえうちに、たいがい無いものだろうと覚悟をしました。しかし、あとあと思いやられるのはお千絵様、春にも逢わずお家の御運と共枯れに散るよりほかはねえのです……。もし弦之丞様、それやこれも察してあげて、どうぞわっしが立った後は、江戸表へお帰りなすッて、不幸なお千絵様の力となってあげて下さいまし……、このとおり、銀五郎が両手をついてお願い申します」
「……さて何としたものやら?」
「なに迷うことがございましょう。嘘もけれんもないところ、お千絵様はあなたにしんから惚れています。顔だけ見せてあげただけでも、どんなにお欣びかもしれませんぜ。弦之丞様、銀五郎が一生の頼みでございます、どうぞ一度あのお方へ帰ってあげて下さいまし」