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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「なんだろう? ……」と、あッけにとられて見送りながら、そこでさまざまな風評が立つ。

どこかしらのお大尽が、京の芸妓や色子をこぞッて、琵琶湖へ涼みに出かけるのだろう。いやいや、お大尽様というものは昔から男のものに限っている、あの駕の中に納まっているのは女じゃないか。なアるほど女ですね。女も女、すてきな別嬪さ。してみると金持の御寮人様かな。もしもしばかをいってはいけませんよ、良家の箱入娘があんなまねをして、臆面もなくこの真っ昼間あるくもんですか。イヤごもっともごもっとも、それもそうだ。それじゃア何だ? 何だかさッぱり分りませんな。

こんな噂やけげんがる目が、その行列をいっそうはしゃぎ立たせて、程もなく逢坂の麓、走井の茶屋の店さきへかかると、一同はまン中の駕を下ろし、群蝶のくずれるように茶店の内や外に散らばった。

「さあ、お嬢様、お嬢様」

祇園あたりの仲居であろうか、装をすかさぬ年増たちが、駕を覗いてこういった。

「――いよいよここが追分手前で、あのとおり井水が吹きこぼれている走井の名物茶屋。お名残り惜しゅうございますが、お見送りもここまでといたしましょう」