Japanische Klassiker mit Furigana
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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
Lesen Sie 鳴雪自叙伝 (めいせつじじょでん) von 内藤 鳴雪 (ないとうめいせつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.693 Zeichen · 377 Bildschirme
またこの以前に、城下の南外れの亀の井という割烹店で二回までも或る方面の人の御馳走になった。私が主人となって、この亀の井で親戚と最も親しい婦人連を招待した事もある。なお広く郷地の人々を招待したいのであったが、何しろ貧乏な私は、金がないのでその志が遂げられず、御馳走の喰いっぱなしで這々の態で引上げてしまった。また一つ遺憾なのは、久しぶり即ち十七年目に帰省したのだから一度は城山の絶頂に登って眺望をしたいと思ったが、それも出来ず、道後の公園さえ私の碑の建った場所を見たのみで、山上の陛下の御手植の松さえ見る事が出来ず、温泉の町も昼の光景は見る事が出来なかった。
前にもいった私の檀那寺正宗寺には、代々の墓もあるから、妻と共に参拝した上に、総ての仏に対する法事を営んで、僧侶と近い親戚とへ午餐を出した。ここの和尚も揮毫を求めたから禅宗でもあるし、かたがた例の達磨の句を全紙に書きなぐって与えて置いた。この寺は故子規居士の石碑もあるから、知る人は時々訪れるらしい。
こんな風で松山は引上げて、この帰途には大阪で青木月斗氏等の俳句会に臨む約もあるし、また奈良見物や、京都近傍の三井寺石山寺等の参詣も期していたのだが、兵庫へ着くと、姪の婿なる市橋俊之助が停車場に来ていて、流行感冒が猖獗で家族も臥蓐しているといったので、その須磨へも