Japanische Klassiker mit Furigana
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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
Lesen Sie 鳴雪自叙伝 (めいせつじじょでん) von 内藤 鳴雪 (ないとうめいせつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.693 Zeichen · 377 Bildschirme
私は始めてのことだから、こういう時には覆没を怖れた。風が悪くて港に長く止まる際には、港へ上がって風呂をたててもらって、相当の礼をして這入った。船の艫の方に小さく囲った処に穴があって、そこから大小便をすることになっているので、自分の船のはわからぬが、よその碇泊船のは、その穴から汚い物の落ちる所が見えるので、私は可笑かった。
当時ノジという小さな漁船があった。それは一家内乗込んで、原籍も無く、一生を船中で暮す者の称である。このノジがよく碇泊中に、肴を買ってくれといってやって来た。大変に安くて捕り立てであるのでうまい。或る時私どもはこのノジから黒鯛を買って俎板で割くと、その腹から糞が出て来て、大弱りをした。黒鯛は他の魚よりも人糞を食うもので、これは碇泊舶の糞を食ったものらしかった。
一行の船は段々と帰路が捗取って、もはや讃岐の陸近くへ来た。このあたりで航海者はよく金毘羅へ向ってお賽銭を上げたものである。それは薪を十文字に結わえ、それに銭を結付けて海に投込むのである。こうした賽銭は漁師などが見付けると、船に入れて、人に托して間違なく金毘羅へ届けたものである。