Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とびとかきととり

鳶と柿と鶏

豊島 与志雄

Lesen Sie 鳶と柿と鶏 (とびとかきととり) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.493 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

「李さんじゃないのでしょうか。」

弱々しい声の響だった。吉村は答えなかった。ただ李のことをきくと、急に用が出来て東京へ呼び戻されることになったとかで、昨日の夕方、お別れにちょっと寄ったきりだそうだった。

「まあ、李君が何かに怒って、或は名残りを惜んで、あんなことをしたのだと、しといてはいけませんか。」

君枝はもう興奮もさめて李のことを偲ぶらしく、黙って眼をしばたたいた。

その眼がちょっと涙にうるんでるように見えたのを、吉村は、小説家のばかな癖だと自ら咎めて、空の方へ眼をやった。空には、高く、朝日のなかに、もう鳶が一羽舞っていた。

「そうだ、朝露にひえた柿はひどくおいしいそうだから、ひとつ下さいよ。」

吉村はちょっと君枝のそばを避ける気持で、柿を取りに行った。