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Japanische Klassiker mit Furigana

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とびとかきととり

鳶と柿と鶏

豊島 与志雄

Lesen Sie 鳶と柿と鶏 (とびとかきととり) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.493 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

既にその頃から、彼等夫婦の間は面白くゆかなかったらしく、君枝が肺を病んで海辺の別荘に来てからは、正彦は相当な財産があるにまかせて放埓になり、或る恋愛問題にまではまりこんでいた。この恋愛問題については、吉村と上山は明らさまに話し合ったことはなかったが、既に君枝にまでうすうす知れてることが二人の間に了解されていたのである。危い瀬戸際だということが、吉村にはっきり感ぜられ、自分の尽すべき途はないかとまで考えていた。

然るに、君枝に逢ってみると、やはり、手掛りのつけようもないという気持を新たにするの外はなかった。正彦の行動を君枝はかなりよく知ってるらしく、こんなことを云うのだった。

「あの人も、お酒ばかり飲んで、気の毒な人だと思います。」

それも、自分のような病弱な妻を持って気の毒だというのではなく、身を持ち崩しかけてる人だという冷静な批判で、それが良人に対する妻の言葉なだけに、吉村は肌寒い思いがした。肌寒いと云えば、何かにつけて君枝にはそういうところがあった。書いた文章にもそれが現われていた。一体、すぐれた文章なり作品なりが書ける女は、その容姿とか動作とか言葉とか、どこかに女性らしい色艶があるものだということが、吉村の持論だった。