Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

下った五色の布を引いて拝します。その後側の裏門を出ると、桜餅で有名な長命寺の門前で、狭い斜めの道を土手に上ると言問です。

牛の御前の向い側にしもた家らしいのが二、三軒、その並びに芸者屋が一軒ありました。千本格子の入口に大きな提灯が下って、〆八という名が書いてあり、下地ッ子とでもいうのでしょう、髪だけ綺麗に結った女の子が、襷掛けで格子を丁寧に拭いていました。いつかお母様とその前を通りかけた時、人と立話していた芸者が、「お出掛けですか?」といって、寄って来ました。お邸へ来るので知っているのです。「お嬢さんですか?」と、しゃがんで私の両手を取ります。びっくりして、手を引込めようとしましたが離しません。「お遊びにいらっしゃいな」といい、「お学校への道ですからいいでしょう」といいます。私が土手下の小学校へ通い始めた頃でした。やっと別れた帰り路に、「〆八は愛嬌があって、評判がいいのだよ」とお母様はおっしゃいましたが、私は何だか嫌でした。

それから朝学校への道でよく逢います。あの人たちは朝は遅いかのように聞きましたのに、きっと牛の御前に朝詣をするのでしょう。私を見かけると、大きな手を広げて通せん坊をします。