Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

広い畳敷の上に坐って、頭を垂れて念じ入っている人たちがあります。一間丸位の大太鼓があって、坊さんが附いているのはどんな時に打つのでしょう。格子の前の長さ一丈余もある賽銭箱へ、絶間もなくばらばら落ちるお賽銭は雨の降るようです。赤い大提灯の差渡し六、七尺、丈は一丈余もあるのが下っています。「魚がし」と書いてあったようでした。梁に掛けてある額には、頼政の鵺退治だとか、一つ家の鬼女だとかがあります。立派な馬の額にも、定めし由緒があるのでしょう。濡らして打ちつけたらしい紙礫が、額の面一面に附いていました。太い円柱に弁慶の指の跡というのがあって、そこへ指を当てて見る人もありました。安産のお守を受けたり、御神籤を引いている人もあります。御賓頭盧の前で、老人がその肩や膝を撫でては自分のその処をさすることを繰返しています。その木像は頭の形はもとより、目も鼻も口も分らず、ただすべすべしているのは、どれだけの人にさすられたのでしょう。それに涎掛などのしてあるのは妙な恰好です。

お堂を降りた処には筵を敷いて、白髪の老婆のどこやら品のあるのが、短い琴を弾いて、低い声で何か歌っていました。