Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

それから無銘ですが、鬼の面がありました。目に金が入れてあり、上手な作と見えて、物凄い様でした。どちらも黄楊らしく、よい艶に光っていました。

珍しがっていたのは、三番叟が烏帽子を被り鈴を持っているので、持って振りますと、象牙を入れた面から舌がちょいちょい出るのです。彩色した茶摘女や、能人形も少しあり、金属や陶磁器のも一つ二つありました。

しめやかな雨の降る日、朝書斎に這入ったままあまり静かなので、そっと二階へ上って覗きましたら、机の上へ薄羅紗の裂を敷き、根附を全部出して順よく並べ、葉巻をくわえて楽しそうに見ています。「おや陳列会ですか」といいながらはいりますと、それを買った時、貰った時のことなどをぽつぽつ話します。それぞれに思い出があるのです。何か一品手に入りますと、また机の上の陳列会があるのでした。

晩年あまり外出せぬようになってからは、楽しげに愛玩すると聞いて、知人が一つ二つ持って来て下さる事もありました。下さる人はそれほど目利という訳でもありませんから、古くない慣れの少いのもあるので、絹の打紐を通して、中指にかけて握っているのを皆が笑いますと、自分も笑いながら、「名のある彫刻師で、いつも自作を一つ袂に入れて、磨いていたのがあるというよ」