Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
涙ぐんでいる様子です。
「実は死ぬつもりです。」
はつがそういったのに、私はびっくりしました。あまりに落附いて、静かな声でいうものですから、聞違えたのではないかと思って、問返しますと、はつは事情を話しました。
「田舎は田舎で暮しにくく、父も亡くなって弟の所帯となってからは、世話になるのも気の毒ですし、今後どうという見込も立たないのですから、人にあまり迷惑をかけない内にと思います。娘が尋ねて来てくれましたが、今の私からかえって助けてもらおうというのですから、どうにもなりません。それで決心いたしました。主人には、時々便をくれる従弟のところへ行くように、その旅費だけは用意してありますからといいましたが、この不自由な体で行く気はない。お前がする通りに己もするといいます。実は私としても、跡に残して行くのは心がかりですから、それならと話し合って来ました。」
はつはそういうのです。私はこれまでこんな話をしかけられたことはなし、重々気の毒とは思うけれども、どうしてやる力もなく、思案に暮れるばかりでした。
「まあ、そう思詰めないでもよいではないか。どうかして上げたいのは山々だけれど、檀那様はお前も知っている通り、お金の取れる仕事ではないので、どうにもならないが、一体どれくらいあったら凌いで行かれるの。