Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

女中でも取りに行くのでしょう。恰幅のいい、赭ら顔の五十位の人でした。

その頃のお湯屋は、長方形の湯槽の上に石榴口といって、押入じみた形のものがあって、児雷也とか、国姓爺とか、さまざまの絵が濃い絵具で画いてあり、朱塗の二、三寸幅の枠が取ってあって、立籠る湯気が雫となって落ちています。そこを潜って這入るので、人の顔など、もやもやして分りません。どんな寒中でも、長くはいられないでしょう。けれども昔の人は熱い湯に這入りつけていましたし、それが幾分誇気味でもあったらしいのです。

近くにはお湯屋がないと見えて、大勢人が行きます。拍子木の音が聞えるのは、流しを頼むので、カチカチと鳴らして、三助に知らせます。流しを頼んだ人には、三助が普通の小桶ではない、大きな小判形の桶に湯を汲んで出します。暇な人は流しを取って、ゆっくりと時を過すのでした。

女たちも子供連れなどは昼間に行きます。よく芸者などが客や朋輩の噂をしていました。夜は仕事をしまった男たちが寄って来て、歌うやら騒ぐやら、夜更まで賑やかなことでした。

御家老の清水さんの奥さんのお藤さんといいますのは、大きくなってから聞いたのですが、もと殿様のお部屋様でした。