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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんがり

鷭狩

泉 鏡花

Lesen Sie 鷭狩 (ばんがり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.763 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

「あれ、お気味が悪うございましょうのに。」

と釣込まれたように、片袖を頬に当てて、取戻そうと差出す手から、ついと、あとじさりに離れた客は、手拭を人質のごとく、しかと取って、

「気味の悪かったのは只今でしたな――この夜ふけに、しかも、ここから、唐突だろう。」

そのまま洗面所へ肩を入れて、

「思いも寄らない――それに、余り美しい綺麗な人なんだから。」

声が天井へもつき通して、廊下へも響くように思われたので、急に、ひっそりと声の調子を沈めた。

「ほんとうに胆が潰れたね。今思ってもぞッとする……別嬪なのと、不意討で……」

「お巧言ばっかり。」

と、少し身を寄せたが、さしうつむく。

「串戯じゃありません。……(お手水……)の時のごときは、頭から霜を浴びて潟の底へ引込まれるかと思ったのさ。」

大袈裟に聞えたが。……

「何とも申訳がありません。――時ならない時分に、髪を結ったりなんかしましたものですから。――あの、実は、今しがた、遠方のお客様から電報が入りまして、この三時十分に動橋へ着きます汽車で、当方へおいでになるッて事だものですから、あとは皆年下の女たちが疲れて寝ていますし……私がお世話を申上げますので。