Japanische Klassiker mit Furigana
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こうとう
黄灯
田中 貢太郎
Lesen Sie 黄灯 (こうとう) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.262 Zeichen · 21 Bildschirme
大変悪くて寝ずの番までしている病人が、どうして歩いて来たのだろうと思って、主翁は眼をった。伯爵はよろけるように中へ入ったが、榻の醜怪な容が眼に入ると、獣のようなうなり声を立てた。
運転手は夫人の手をふり払うと、横倒しになっていた体を起した。伯爵の左の手がその胸倉にかかった。夫人も驚いて榻の上に起きなおろうとした。伯爵の右の手が頭髪の多いその頭にかかった。伯爵はまた獣のように唸った。そして、大きな呼吸を苦しそうにした。
「何を遊ばされます、そんな野蛮な、しもじもの者のなさるようなことは謹しんでください」
夫人は伯爵の手を除けようとしたが放さなかった。
「放してください、そんな乱暴なことを遊ばされては困ります」
伯爵はまた唸り声を立てた。
「旦那、もうこうなったうえは、私も卑怯な真似はいたしません、放してください、そんなにせられちゃ、呼吸もできねえのだ、まあ、ゆっくり話しましょう、何も騒ぐことはありませんよ」と運転手が冷やかに云って、その手を除けようとしたが除かなかった。
「さあ、今だ、今往って、あの紐を掛けて来い、今ならきっと掛る」
書生はこう云って主翁を突くようにした。