Japanische Klassiker mit Furigana
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くろいはたものがたり
黒い旗物語
小川 未明
Lesen Sie 黒い旗物語 (くろいはたものがたり) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.583 Zeichen · 10 Bildschirme
二
すると子供は、
「ずっと遠い南の国からやってきました。そこは暖かで冬でもつばきの花が咲きます。山の畑にはオレンジの樹があり、日の落ちるときには海が紫色に光って、この町よりも、ずっときれいな町であります。」
といいました。すると町の人はこれを聞いて、気持ちを悪くいたしました。
「この町よりもきれいな町があるといったな。そんならなぜその町にいなかったのだ。なんでこの町などへやってきた。さあ早くどこかへいってしまえ。」
とどなりました。
二
乞食の子供は、町の人の怖ろしいけんまくに震えながらいいました。
「北の方へゆけば哀れな人間をあわれんでくださる人さまのいなさる町があると聞きましたので、こうして二人はわざわざ遠いところをやってきました。」
すると町の人々は、口々に虫のいいことをいう奴だといってあざけりました。
「おい、小僧め、これから風が吹くから火など焚いてはならんぞ。そしてうろついていずに、どこへなりと早くいってしまったほうがいい。ものがなくなると、おまえたちの盗んだことにするからそう思え。」
冷酷にも、こんなことまでいいました。
子供はなんといわれても、これにたいして怒ることもできずに、爺の手を引いて町の中を戸ごとにたたずみながら歩いてゆきました。