Japanische Klassiker mit Furigana
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ねずみざか
鼠坂
Lesen Sie 鼠坂 (ねずみざか) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.781 Zeichen · 16 Bildschirme
杯盤の世話を焼いているのは、色の蒼い、髪の薄い、目が好く働いて、しかも不愛相な年増で、これが主人の女房らしい。座敷から人物まで、総て新開地の料理店で見るような光景を呈している。
「なんにしろ、大勢行っていたのだが、本当に財産を拵えた人は、晨星寥々さ。戦争が始まってからは丸一年になる。旅順は落ちると云う時期に、身上の有るだけを酒にして、漁師仲間を大連へ送る舟の底積にして乗り出すと云うのは、着眼が好かったよ。肝心の漁師の宰領は、為事は当ったが、金は大して儲けなかったのに、内では酒なら幾らでも売れると云う所へ持ち込んだのだから、旨く行ったのだ。」こう云った一人の客は大ぶ酒が利いて、話の途中で、折々舌の運転が悪くなっている。渋紙のような顔に、胡麻塩鬚が中伸びに伸びている。支那語の通訳をしていた男である。
「度胸だね」と今一人の客が合槌を打った。「鞍山站まで酒を運んだちゃん車の主を縛り上げて、道で拾った針金を懐に捩じ込んで、軍用電信を切った嫌疑者にして、正直な憲兵を騙して引き渡してしまうなんと云う為組は、外のものには出来ないよ。」こう云ったのは濃紺のジャケツの下にはでなチョッキを着た、色の白い新聞記者である。