Japanische Klassiker mit Furigana
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いしがおごる
いしが奢る
山本 周五郎
Lesen Sie いしが奢る (いしがおごる) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.304 Zeichen · 45 Bildschirme
――そのために保馬の来た理由はぼかされてあった。河瀬主殿の娘が病臥ちゅうで、結婚できない躯だということもわかっていたが、宮津へ着くまえに、(江戸の父から)求婚の手紙が届くようになっていた。勘定吟味役かもしれない、という評判も、じつはわざと弘められたものだったのである。
――どうやら無事にこぎつけた。
保馬も、堀や仲田も、肩の荷をおろしたような気持だった。
――これで会談をうまく切抜ければ。
そう思ったのであるが、じっさいはそうではなかった。保馬が宿所にこもりだしてから、御用商人たちは嗅ぎつけたのであった。かれらも手を束ねていたわけではなく、こちらの動きには油断なく眼を光らせていた。こちらが肩の荷をおろしたと思ったとき、かれらは事のあらましをさぐり当て、その対抗策のため色を変えていたのであった。
十月にはいって五日めの午後、いしから保馬へ手紙が来た。
――お返し申したい品があり、ぜひ話したいこともあるから。
そういう文面で、すぐ来てもらいたい、という意味が哀訴のように繰り返してあった。
「私たちの顔を見ることはないですよ」堀がにやにや笑った、「花の礼もしなければならないんでしょう、どうぞいっておあげなさいまし」