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Japanische Klassiker mit Furigana

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いのちのしょや

いのちの初夜

北条 民雄

Lesen Sie いのちの初夜 (いのちのしょや) von 北条 民雄 (ほうじょうたみお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.366 Zeichen · 63 Bildschirme

Aozora Bunko

と尾田は言って佐柄木の横へ腰をかけた。

「ね尾田さん。どんなに痛んでも死なない、どんなに外面が崩れても死なない。癩の特徴ですね」

佐柄木はバットを取り出して尾田に奨めながら、

「あなたが見られた癩者の生活は、まだまだほんの表面なんですよ。この病院の内部には、一般社会の人の到底想像すらも及ばない異常な人間の姿が、生活が描かれ築かれているのですよ」

と言葉を切ると、佐柄木もバットを一本抜き火をつけるのだった。潰れた鼻の孔から、佐柄木はもくもくと煙を出しながら、

「あれをあなたはどう思いますか」

指さす方を眺めると同時に、はっと胸を打って来る何ものかを尾田は強く感じた。彼の気付かぬうちに右端に寝ていた男が起き上がって、じいっと端坐しているのだった。もちろん全身に繃帯を巻いているのだったが、どんよりと曇った室内に浮き出た姿は、何故とはなく心打つ厳粛さがあった。男はしばらく身動きもしなかったが、やがて静かにだがひどく嗄れた声で、南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と唱えるのであった。

「あの人の咽喉をごらんなさい」

見ると、二、三歳の小児のような涎掛けが頸部にぶら下がって、男は片手をあげてそれを押えているのだった。