Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
「よし、お前にもやろう」
パンをちぎって投げてやると、犬は石でもぶっつけられたみたいに尻尾をまいて、あわてて逃げた。
馬鹿な奴だ。だが、その馬鹿な奴は、いったんは逃げ出したものの、のそのそと戻って来て、地面に鼻をくっつけてパンを探しにかかった。
「そんなとこじゃない。こっちだよ」
俺が言うと、犬はびくっと逃げかける。俺はよけいな注意はやめた。
探し当てたパンを犬は口にくわえた。アグアグとやったと思うと、ほとんどひとのみにした。
「どうだ、うまかったか」
このときの俺には微塵も殺意などはなかったのである。
犬は疑わしげな眼をして、俺を見ていた。パンをくれた俺に感謝する眼ではなく、なんでパンをよこすのかと猜疑にみちた眼なのである。俺は俺の好意を犬に知らせてやりたいと、ふたたびパンを投げ与えた。
犬はぎょっとして逃げかけたが、そんな恰好をしただけで今度は逃げ去ることはしなかった。パンもすぐ見つけて、あっという間に食ってのけた。
俺は新たにパンを、ふわっと空中に放りあげるようにして犬に与えた。犬はそれを口で受けた。
「うまいぞ」
ほめてやったが、犬はおどおどと俺を見ていた。