Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
まるで俺のせいみたいに言って、
「もうすぐ秋だというのに、どうだ、このハエは。五月蝿と書いて、うるさいと読ませるが、これでは九月蝿と書き直したほうがよさそうだ」
そんなことをつぶやいてから、
「砂馬君は無理にすすめんほうがいいな」
「はあ」
「砂馬君には何も言わんほうがいいね」
口の軽い俺をたしなめるように言って、またハエをたたいた。
あと一月たらずで、世の中がひっくりかえる騒ぎがおきるというのに、張本人のひとりの慷堂はその大事にまるで関係を持ってない人間みたいに、そしてこれだけが仕事であるかのように、ハエたたきでせっせと、だがのんびりとハエをたたいている。俺はちょっと勝手がちがうようなとまどいさえ覚えさせられた。
もうすぐ、どえらい事件がおきるのだと俺のほうはわくわくしていた。昂奮していた。それをたあいなく顔や言葉にも出していた。もちろん俺だって、誰の前でもそうだというわけではなく、他ならぬ慷堂の前だったからだが、そうした俺を見てまるで興ざめでもしたような、しらじらしい顔をした慷堂は、今度の計画にあんまり期待を持ってない、むしろ期待を失ってにがい幻滅を味わってでもいるかのようにさえ見えた。