Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
「加柴さんに、いえ、野中さんに早くここを出て行って貰いたいからでしょう。主人としたら無理はないわ」
「それにしても、僕にはちっとも、むごい親方ではなかった」
「清さんへの義理がありますもの」
綾子はそして開き直って、
「あたしをここへ置いていくつもりなんですね」
置いてくだなんてと、これは波子が言った。綾子はこれも無視して、
「よござんすよ。あとになって、あたしが一緒だったほうがよかったと後悔しても知りませんよ」
上海の清一郎に俺をもうかまいつけるなとでも手紙で言うつもりだろうか。いやな疲労に俺はのめりこんで行った。綾子の無理難題のせいというより、波子との交わりのあと俺はいつもこうだった。ひどく身体が弱っている。平凡な、緊張のない生活が、かえって俺の肉体を蝕んだかのようだ。身体を張って生きて来た俺には、だらけた生活がきっと毒なのだ。それなら、これから、もとの俺に戻るのだから、健康も取り戻せるだろう。
綾子が去ったあと、
「百成さんとこの坊ちゃんは……」
波子が事もなげに言ってのけた。
「ほんとは、百成さんの兄さんの子なんですって」
「清さんの子?」
志奈子は終始スヤスヤと眠っていた。