Japanische Klassiker mit Furigana
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うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
Lesen Sie うすゆき抄 (うすゆきしょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.454 Zeichen · 59 Bildschirme
「これは兄上ではありませんか。どうしてこんなことをなすったの」とたずねた。
道益は、おッといって庭先をみまわした。なるほど、こんなときには人先きにあらわれるはずの道長の顔がみえない。鉄砲を縁に投げだし、跣足で池の汀まで駆けて行ってみると、風態こそちがうが身体のつくりはまごうかたなき伜の道長であった。
「さては、このことだったのか」
道益は道長を抱くことも忘れ、空を仰いでつぶやいた。
二人の子供は、二人ながら非業の最期を遂げると円明が言い残したが、いかにもその一人はこんな体裁になった。非業の死とは、現在の父親が、命よりもいとしく思うその子をおのれの手にかけて殺すということなのであった。あのとき円明は、こういう成行を見ぬいていたのだが、さすがにそこまでのことは、うちあける気になれなかったのだろう。
道益は露草のなかに坐りこみ、にわかに十も年を取ったように落ちこんで、身も世もなく悲嘆にくれていたが、行子は道長は死んだようには見えないといいだした。
「鉄砲の音におどろいて倒れたくらいのところでしょう、どこにも血のあとがみえません」
改めてみなおすと、いかにも死んでいるのではなかった。