Japanische Klassiker mit Furigana
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おさん
おさん
Lesen Sie おさん von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.343 Zeichen · 21 Bildschirme
ねむられないのです。隣室の夫も、ねむられない様子で、溜息が聞え、私も思わず溜息をつき、また、あのおさんの、
女房のふところには
鬼が棲むか
あああ
蛇が棲むか
とかいう嘆きの歌が思い出され、夫が起きて私の部屋へやって来て、私はからだを固くしましたが、夫は、
「あの、睡眠剤が無かったかしら。」
「ございましたけど、あたし、ゆうべ飲んでしまいましたわ。ちっとも、ききませんでしたの。」
「飲みすぎるとかえってきかないんです。六錠くらいがちょうどいいんです。」
不機嫌そうな声でした。
三
毎日、毎日、暑い日が続きました。私は、暑さと、それから心配のために、食べものが喉をとおらぬ思いで、頬の骨が目立って来て、赤ん坊にあげるおっぱいの出もほそくなり、夫も、食がちっともすすまぬ様子で、眼が落ちくぼんで、ぎらぎらおそろしく光って、或る時、ふふんとご自分をあざけり笑うような笑い方をして、
「いっそ発狂しちゃったら、気が楽だ。」
と言いました。
「あたしも、そうよ。」
「正しいひとは、苦しい筈が無い。つくづく僕は感心する事があるんだ。どうして、君たちは、そんなにまじめで、まっとうなんだろうね。