Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
「おめえ、まだ隠してるな」
「どういたしやして、嘘も隠しもありゃァしません。みんなほんまのことを申上げて居りやすんで。……」
「千吉」
「へ」
「おめえ、二三日前に行った時、おせんが誰と話をしてえたか、そいつをいって見ねえ」
「話でげすって」
「そうだ。おせん一人じゃなかったろう。たしか相手がいたはずだ」
「お袋が、隣座敷にいた外にゃ、これぞといって、人らしい者ァいやァいたしません」
「ふふふ、お七はいなかったか」
「お七ッ」
「どうだ、お七の衣装を着た浜村屋が、ちゃァんと一人いたはずだ。おめえはその眼で見たじゃねえか」
「ありゃァ親方。――」
「あれもこれもありゃァしねえ。おいらはそいつを訊いてるんだ」
「人形じゃござんせんか」
「とぼけちゃいけねえ。人間を人形と見違える程、鬼七ァまだ耄碌しちゃァいねえよ。ありゃァ菊之丞に違えあるめえ」
「確にそうたァ申上られねえんで。……」
「おめえ、眼が上ったな。判った。――もういいから帰ンな」
「有難うござんすが、――親方、あれがもしか浜村屋だったら、どうなせえやすんで。……」
「どうもしやァしねえ」
「どうもしねンなら、何も。――」
「聞きてえか」