Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
……」
「爪を煮るたァ、そいつァいってえ何んのこったい」
「薬罐に入れて、女の爪を煮るんだ」
「女の爪を煮る。――」
「そうよ。おまけにこいつァ、ただの女の爪じゃァねえぜ。当時江戸で、一といって二と下らねえといわれてる、笠森おせんの爪なんだ」
「冗談じゃねえ。おせんの爪が、何んで煮る程取れるもんか、おめえも人が好過ぎるぜ。春重に欺されて、気味が悪いの恐ろしいのと、頭を抱えて帰ってくるなんざ、お笑い草だ。おおかた絵を描く膠でも煮ていたんだろう。そいつをおめえが間違って。……」
「そ、そんなんじゃねえ。真正間違いのねえおせんの爪を紅の糠袋から小出しに出して、薬罐の中で煮てるんだ。そいつも、ただ煮てるんならまだしもだが、薬罐の上へ面を被せて、立昇る湯気を、血相変えて嗅いでるじゃねえか。あれがおめえ、いい心持で見ていられるか、いられねえか、まず考えてくんねえ」
「そいつを嗅いで、どうしようッてんだ」
「奴にいわせると、あのたまらなく臭え匂が本当の女の匂だというんだ。嘘だと思ったら、論より証拠、春重の家へ行って見ねえ。戸を締め切って、今が嬉しがりの真ッ最中だぜ」
が、八五郎は首を振った。