Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おもかげ
おもかげ
宮本 百合子
Lesen Sie おもかげ von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.997 Zeichen · 20 Bildschirme
高校生であった保を喪った父の悲痛な気持が、たまらなく思いやられた。もし朝子がいたら、父は自分で涙をこぼしながらも、きっとやはりそういう風に娘の手をとって、それを握って、そして自分と朝子とを励ましただろう。自分がこのことで帰ったりはしないという気持をもっている、その心持も、苦しさや悲しさがこうして相通じているその心の流れのなかで父にはわかるだろう。朝子は考えに沈みながら、露台の方へ出て行った。
昔プーシュキンが勉強した学校の校長の住居であったというその下宿は、菩提樹や楡の繁った大公園に向っていて、二階の広間から、木の手摺のついた露台に出られた。隣りとの境に扇形に梢をひろげた楓の大木があって、その蔭に灰色の塀がめぐらされた隣の家の扉が見える。往来をへだてて公園の入口があった。緑の間に鉄柵が見え、午睡の時刻で、そのあたりには人影も絶えている。緑の濃さと強い日に光っている広い道の寂しさには、北ヨーロッパらしい風景の或る美しさがあった。籐のはぜかかった古い揺り椅子がそこにあった。
一昨日電報を読んだ瞬間、受けた衝撃のうちに、既に実に複雑なものがこもっていた。