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Japanische Klassiker mit Furigana

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おれのにょうぼう

おれの女房

山本 周五郎

Lesen Sie おれの女房 (おれのにょうぼう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.296 Zeichen · 46 Bildschirme

Aozora Bunko

三

これでよしとなって、本式に描きだしてから三月は経つ、もう五枚も反古にしているのだが、――こんどこそと思った六枚めがまたゆき詰った。どうもがいてもいけない、まったくあがきがつかないのである。

「――矢来下へゆこう、酒だ」

彼は呻くように云って立ちあがった。

三

矢来下の井上のところには松屋貞造がいて、珍しくてんや物などを並べて酒を飲んでいた。貞造が今川橋の家へいって母親から金を貰って来たのだという。

「――勿体ないが騙しよいといってね、おふくろだけは有難いもんですよ、親父や兄きときたひにゃ小言の百万遍を並べるだけで、それこそ百も出しゃあしない、そこへゆくとおふくろは涙ぐむだけですからね、涙ぐんで、なけなしの臍繰りを黙って呉れるんだ、いいもんですよ」

「そんなときばかり褒めるやつさ、おふくろさんこそいいつらの皮だ」

孝兵衛がそう云って笑った。

それから矢来下を出て、島田の家へいったのがようやく午ごろらしい。その近所から飲みはじめて、昏れ方には柳橋の舟宿にいた。神田川を眼の下に見る二階座敷で、もうかなり酔っている三人を相手に、例のごとく画論をやり、例のごとく熱をあげたのである。