Japanische Klassiker mit Furigana
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おこしょうこたろう
お小姓児太郎
室生 犀星
Lesen Sie お小姓児太郎 (おこしょうこたろう) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.011 Zeichen · 14 Bildschirme
一言も言わなかった。
児太郎は、蒼ざめた顔をゆがめ、悪いことをしたときの窮屈な冷笑をうかべながら、馬刺剣を庭木の肌を目がけ投げつけた。李のいらいらした肌にぴいんと立ち、蜻蛉のように震え、やがて停った。児太郎は、病的にちかい目と手つきとから静まって、冷たい縁側にぺたりと坐った。弥吉は、とうとう来なかった。虫がひいひい啼いている、あたりは暮れかけはじめていた。
「なぜ其方は逃げ出したのだ。それほど痛むか。」
児太郎は、ふたたび弥吉が部屋へはいってきたとき、そう言いながら、顔を歪めている弥吉を見戍った。その顔は卑屈にしびれ切って、眼底に微かな反抗がうずまいていた。
「無調法をお目に停らせると恐れ入りまするので、あちらへ参りましたのでございます。」
「ふむ。」
児太郎は、それきり何にも言わなかった。頭が静まると、次第に自分のしたことに、いつものような後悔が募り出すのを感じたのである。
「痛むか。」
「いえ。」
弥吉は、わざと元気に立ち働いて、部屋じゅうに散らばった物を片附けはじめた。が、ときどき苦しそうに腰部をさすりながら、児太郎を偸み見た。その目の底に燃えるような憎念がたぎりぎらついていた。