Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おこしょうこたろう

お小姓児太郎

室生 犀星

Lesen Sie お小姓児太郎 (おこしょうこたろう) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.011 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「其方、斯様な目に遭って無念に思わぬかな。」

「すこしも思いませぬ、よく御存じ上げて居りますから。」

「では、予が為ることを先き以って存じていると言うのだな。」

「何となく感づくことがございます。」

そういう弥吉の目には、測り知れない例の憎念が、微笑んでいるに拘わらず、児太郎の目に停らぬ程度で現われていたのである。とうてい叶わない諦めもあったが、それにしては消えがたい底強い光が潜んでいたのである。

「弥吉、殿勤めはつらいぞ。」

児太郎は、左ういうと後悔の念いを今はハッキリと面にあらわした。弥吉は、黙ってうつむいていた。

三

そのうち不思議にも、児太郎の乱行は、ぱたりと止んだ。そのかわり殿宵の勤め泊りの声も、おかみからは下りなかった。夜は、ほの暗い行燈と虫声の繁い屋敷うちに、児太郎は端然と寂しく坐っていた。弥吉は、それを知ってから、なるべく児太郎に顔を合さぬようにした。

弥吉は、鞍ヶ岳の池のまわりで、そよりと立った鷹狩の、児太郎の可憐な姿を、いまは何処にもみることができないのに気が附いた。ふしぎにお小姓は、長くて三年の器量といわれているだけに、もう児太郎の顔容は、その目つきばかりでなく、コワそうなうす青い髭の芽生えからも落ちかかっていた。