Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おりつとこらと
お律と子等と
Lesen Sie お律と子等と (おりつとこらと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.195 Zeichen · 51 Bildschirme
」
二人がこんな話をしている間に、慎太郎は金口を啣えながら、寂しそうな洋一の相手をしていた。
「受験準備はしているかい?」
「している。――だけど今年は投げているんだ。」
「また歌ばかり作っているんだろう。」
洋一はいやな顔をして、自分も巻煙草へ火を移した。
「僕は兄さんのように受験向きな人間じゃないんだからな。数学は大嫌いだし、――」
「嫌いだってやらなけりゃ、――」
慎太郎がこう云いかけると、いつか襖際へ来た看護婦と、小声に話していた叔母が、
「慎ちゃん。お母さんが呼んでいるとさ。」と火鉢越しに彼へ声をかけた。
彼は吸いさしの煙草を捨てると、無言のまま立ち上った。そうして看護婦を押しのけるように、ずかずか隣の座敷へはいって行った。
「こっちへ御出で。何かお母さんが用があるって云うから。」
枕もとに独り坐っていた父は顋で彼に差図をした。彼はその差図通り、すぐに母の鼻の先へ坐った。
「何か用?」
母は括り枕の上へ、櫛巻きの頭を横にしていた。その顔が巾をかけた電燈の光に、さっきよりも一層窶れて見えた。
「ああ、洋一がね、どうも勉強をしないようだからね、――お前からもよくそう云ってね、――お前の云う事は聞く子だから、――」