Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme
でいるのを不思議そうに覗込むばかりであった。
「あの、一イ二ウ三イ……四つ目の瓦斯燈の出てるところだよ。松葉屋と書いてあるだろう。ね。あの家よ。」とお糸はしばしば橋場の御新造につれて来られたり、またはその用事で使いに来たりして能く知っている軒先の燈を指し示した。
「じゃア僕は帰るよ。もう……。」というばかりで長吉はやはり立止っている。その袖をお糸は軽く捕えて忽ち媚るように寄添い、
「明日か明後日、家へ帰って来た時きっと逢おうね。いいかい。きっとよ。約束してよ。あたいの家へお出よ。よくッて。」
「ああ。」
返事をきくと、お糸はそれですっかり安心したものの如くすたすた路地の溝板を吾妻下駄に踏みならし振返りもせずに行ってしまった。その足音が長吉の耳には急いで馳けて行くように聞えた、かと思う間もなく、ちりんちりんと格子戸の鈴の音がした。長吉は覚えず後を追って路地内へ這入ろうとしたが、同時に一番近くの格子戸が人声と共に開いて、細長い弓張提灯を持った男が出て来たので、何という事なく長吉は気後れのしたばかりか、顔を見られるのが厭さに、一散に通りの方へと遠かった。円い月は形が大分小くなって光が蒼く澄んで、静に聳える裏通りの倉の屋根の上、星の多い空の真中に高く昇っていた。