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Japanische Klassiker mit Furigana

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すみだがわ

すみだ川・新橋夜話 他一篇

永井 荷風

Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

しかしどうかして空が曇ると忽ちに風が出て乾ききった道の砂を吹散す。この風と共に寒さは日にまし強くなって閉切った家の戸や障子が絶間なくがたりがたりと悲しげに動き出した。長吉は毎朝七時に始る学校へ行くため晩くも六時には起きねばならぬが、すると毎朝の六時が起るたびに、だんだん暗くなって、遂には夜と同じく家の中には燈火の光を見ねばならぬようになった。毎年冬のはじめに、長吉はこの鈍い黄い夜明のランプの火を見ると、何ともいえぬ悲しい厭な気がするのである。母親はわが子を励ますつもりで寒そうな寝衣姿のままながら、いつも長吉よりは早く起きて暖い朝飯をばちゃんと用意して置く。長吉はその親切をすまないと感じながら何分にも眠くてならぬ。もう暫く炬燵にあたっていたいと思うのを、むやみと時計ばかり気にする母にせきたてられて不平だらだら、河風の寒い往来へ出るのである。或時はあまりに世話を焼かれ過るのに腹を立てて、注意される襟巻をわざと解きすてて風邪を引いてやった事もあった。もう返らない幾年か前蘿月の伯父につれられお糸も一所に酉の市へ行った事があった……毎年その日の事を思い出す頃から間もなく、今年も去年と同じような寒い十二月がやって来るのである。