Japanische Klassiker mit Furigana
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『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】 (『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.182 Zeichen · 48 Bildschirme
それに何だっていそいで下りて来たのだと云うと、
「さっきから度々電話のベルが鳴るので、早く電話に出なければと気がもめて」
まのぬけたようなこの云い分にわたくしは思わず笑い出した。
何を笑うかと問われて今のさっきあれほど悩まされた電話に就て説明した上で「お前さんのお神さんの姉さん」なるものに就て何か心あたりはないかとわたくしの神さんに問うてみると彼女は狐につままれたようにキョトンとしていた。
彼女は地震の直前まで花柳界にいたのだから、肉親ではなく、その方面でも自ら姉さんと名乗り出るような人も居ないかと念を押してみたが、そういう人物も絶対に無かった様子は、今にしてその前後を考えてみても更に疑うべき節はなかった。
「おかしいわね」
「おかしいのだ、全く」
と話はそれっきりでおしまいになって、もし今度もう一度そんな電話があったとしたら、一度先方の云うとおりに、その女の妹の亭主になりすましてみて、先方の話がどう発展するか聞いてみれば、も少しは事情を判断する手がかりもつこう。先刻だっても、そういう出方も無いではなかったのに、そこに気がつかなかったのは智恵のない話。